Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

人の優しさに触れる

昨晩実家の修繕工事の件で作業を担当して貰うらしい、職人さんの家に行く。既に8時近く、こんな寒空に突如訪れて追い返されることも覚悟していた。
なぜなら未だ連絡先が分からず、かろうじて自宅だけは実家からほど近いところにあること、そして工事が2月から始めることななっているらしいという確かな情報が乏しいからだ。
母に聞いても修繕をしたい旨の話はしたことがあるが、本当にやる、何時からやるとは聞いていないという。然しながら御隣の方から聞くと、この職人さんが何度か実家を見に来て見積を出していると云うではないか。そして工事は2月からという。自分はその話を全く聞いていない。寧ろ母はホームのパンフレットを集めていたりしているので、実家の修繕にお金を掛けるとは思えなかった。
御隣の方の話だと職人さん宅には固定電話はないらしい。携帯電話はあるが、それを伝えることは憚れると云うことで直接云って話をするしかない。そして2月まで時間が無くこの夜行くしかないと云う思いになった。
8時前に職人さん宅に着き呼び鈴を押す。反応が無い。しかし家の中に電灯は灯っている。何度押しても反応が無い。仕方ないのでドアをノックする。寒空で夜だが「御免下さい」も連呼してしまう。するとついに街灯が付きドアを開けてもらえることが出来た。
予想外に高齢な方だった。亡くなった宮路社長みたいな印象で既にパジャマ姿、職人の夜は早い。五月蝿いので呼び鈴の電源は切っているそうだ。夜分の突然の訪問を詫び、自分は息子であるが、母がお願いしている修繕の工期を取り敢えず延期して貰うようお願いした。予想外にも快く延期を認めてくれた。寧ろ逆に母のことを気遣ってもらいさえした。やはり普段話していてもちょっとおかしいと思われてしまっていたのだろう。自分の連絡先と職人さんの携帯電話番号を教えて貰って、後日改めて修繕の相談をさせて頂くこととした。
思いの外事が進んだのでほっとした。先方も仕事の予定を組んでいるはずで急に工期を延期、若しくは中止されては堪らないだろうからかなり詫びを入れる覚悟だった。しかし実際は母のことを心配さえしてくれ、息子が延期を申し入れて来たことも黙っておくとまで言ってくれた。恐らく母は正式に修繕の申し入れをしたこと、職人さんがそう思っていることを認識できていない。少なくとも今はそう思っておらず、修繕する際はぼくと相談すると思っている。しかしこれが自分に記憶は無いが修繕の依頼をしていたとしたらかなりショックになろう。自信をなくすこと、落胆することは今は極力避けるべきと医師からもアドバイスがあった。
とはいえ、思いがけず実家の周りでは母の状況は認識されているようだ。幸いにもそれを悪用しようと云う人はおらず、寧ろ見守ってくれているように思えたことは純粋に嬉しかった。