Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

見舞い 6/27

病院の受付に書類を提出するため、短時間のつもりでバスで母の病院に行く。

はじめは受付に行ってそのまま帰ろうかとも思ったのだが、バスの時間まで時間が40分も空いていたのでそのまま病棟まで行って見舞いをする。

ナースステーションで看護師さんから母の状態を聞く。食事は、相変わらずなかなか一回呼んだだけでは食卓まで出て来てくれないそうだ。が時間をおいて声をかけて食事はするようだ。只機嫌が悪い時もまだあり、食事を半分しかとらない時もあるそう。今朝、風呂に入ってくれたようだ。これは良かった。2、3週ぶりだろうか。後に母に聞くと風呂には入っていないと言っていたが。

母は病床の天井を見ながら何かを言っているようだった。しかし音は聞こえない。カーテンの隙間からこんにちはと声をかけたが、こちらのことがわからないようだった。ベッドの脇に立ち手を握ってこんにちはというと理解してくれたようだ。しかし自分が息子であるとまでは分からないようだ。母の口から固有名詞はすっかり消えてしまった。

唐突に開口一番母は“泣いてばかりいてごめんなさい”という。今泣いていたというのだ。泪は見当たらない。いつもの窓際に行こうと声をかける。寝ていた母だが素直に起き上がり上履きを履いてくれた。病室の他の患者は皆寝ているようだった。そのまま二人でここで話をすると五月蠅いかと思った。病室を出て、ナースステーションの前を横切り北側の窓辺に行く。この日も椅子は空いていた。窓の外は梅雨空の合間に薄日が差すむしむしとした午后。病院内は空調が効いてすっきりとして汗ばむことはない。

“泣いてたの?”とぼく。

“そう、大人なのに駄目ね。泣いてばかりじゃ駄目なのに”と母。泣いた理由は話してくれなかった。理由なんかなかったのかもしれない。

また母をiPhoneで撮影した。嫁さんが一緒なら嫁さんと話をしているところを横から撮影するのだが、一対一なので正面から撮ることになる。

“あたしは写真は嫌いなの”いつも通り母の言葉。

“まぁ、そういわず、スマイル、スマイル”とぼく。

何とか母の笑顔を撮りたいがなかなか上手くいかず。苦笑いがやっと撮れた。

午前中風呂に入ったお蔭か髪の毛が綺麗にとかされていた。ここ最近見舞いに行くと母の髪の毛にブラシするのが恒例になっていたが、この日は必要なかった。それとこの日は終始ご機嫌が良いようで表情が柔らかであった。少し救われた気がした。