Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

著作権と著作隣接権

朝日新聞27日、夕刊一面トップ*1で大きく取上げられていた。
グーグルと音楽著作権管理会社のJRC、「YouTube」で包括利用許諾契約
YouTube日本法人が投稿された動画の楽曲使用料を定額で支払うことになったということだがこれだけ各マスコミに取上げられればプロパガンダとして充分に元手は既に取れたと云えるのではないだろうか。というのは実際YouTubeでテレビのアニメや、バラエティ、ドラマなどの過去のコンテンツを画像的には荒いものの多くの人々が「こっそり」観て来た。それを何処で観たかというとちょっと声を顰めたりして各々がアンダーグラウンドな臭いを感じつつ利用してきた。尤も最近電車の中で高校生らしい女子同士がジャニーズの話をしていたとき、アイドルの過去のバックダンサー時代の映像をYouTubeで観られることを盛んに、大きな声で勧めていたのには、ここまで来たかとは思ったけど。しかしこのように内容とその実効性は不明だがこれだけマスコミ各誌に取上げられ陽の目を見るようになれば、今までより正式に認知されたメディアになっていくという効果は充分に果たしているだろう。
ただ各動画共有サイト、サービスがJASRACらと締結、検討中なのは著作権の実演権、演奏権に関してだ。この点特に上記のYouTubeだと後半宣伝でしかないと思うが新曲のPVを流す専門チャンネルを作るなどとあって紛らわしい。契約的にはあくまで自らが楽曲を演奏するなど実演する権利許諾をユーザーに変わりYouTubeが一括して処理する、ということになる。
つまり例えば結婚式披露宴で友人たちが新郎新婦の馴れ初めを替え歌(厳密には同一性保持権の侵害だがまぁこの程度は黙認だろう)を弾き語りで披露したりするのがOKになるということ。そんなもんでも駄目だったのかよ、と思われるだろうがこれはプライベートだろうがサービスを使って公開*2した時点で脱法状態となる。しかしこれが新郎新婦の生い立ちを紹介するビデオを作って子供時代のやんちゃな姿を当時のヒットチャートの曲をバックに乗せて上演したりする場面が映っていると、それはレコード、CDの複製権や送信可能化権の侵害に当たることが濃厚となる。レコード会社は利用される楽曲の時間は判断にならず、その楽曲が特定出来れば侵害だということなので*3いままでもこれからも利用は、大手を振っては、出来ない。
この辺り解説はされているが誤解する、思い込もうとしている向きも多いと思う。MADムービーの楽曲は自演以外大方駄目なままだろう。
この辺りはレコード製作者をはじめ放送局などを含めた製作者側全体の問題であるし、既得権益を死守しつつ動画共有サービスをメディアとして無視も出来ないし何とか上手く取り込みたいという深慮遠謀も今回の発表に透けて見えるように思う。
色々批判の矢面に立たされることの多い著作権管理団体(JASRACがその代名詞か)だが、今回の発表を観ても実際は現実的な落し処を模索しているように思う。金額、徴収の方法の妥当性は別としても、そのスピード感はネット時代のビジネススピードに対してどうかとは思うが、その背後にいて既得権益を死守せんと身構えている著作隣接権保持者の団体(レコード会社やテレビ局、映画産業の周辺団体など)のほうがよっぽど硬直化しているし、もっと批判されてしかるべきと思う。

*1:ユーチューブと縦書きされてたのが変

*2:公開の定義も難しい、難癖付けたい点は多々あるけれど。

*3:業界的には30秒だ、45秒なら黙認だという都市伝説もあるけど