Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

母の見舞い

土曜日。
嫁さんは仕事の疲れが残っているように見えたので、自分一人で母の病院に行く。曇り空が厚く垂れ籠めた空の元、自転車で駅前の病院。そこから関連の病院まで送迎バスが出ているので、それに乗っていく。
土曜日の病棟は患者さんが多く病室から待合スペースに出てきていて落ち着きがなさそうな雰囲気。母はベットで膝を立てて寝ていた。
空きっぱなしの病室のドアをノックし、右手を挙げながら入る。母は眠ってはいない。軽くハイタッチのように掌を合わせて声をかける。この時点で母の状態が大体わかる。
この日は母の誕生日だった。本人は当然覚えていない。ホワイトボードに書かれた日付を指さし、聞いてみたが思い当たるような気配はなかった。耳元で
母さんの誕生日だよ。おめでとう。
そう言うと、
そうねそうね。
と当然覚えていたように頷く。
手を引いていつもの桜の樹の前のテーブルに移動する。この日は家を出る際に慌てていて母へのおやつを忘れていた。中々話を繋ぐのが難しく、同じ話を繰り返すこと数回、母を抱きしめて誕生日おめでとうと言って帰ることにした。

帰り際、病室のサイドデスクから色鉛筆、ノートが無くなっているのに気が付いた。看護師さんにその事を伝えてもしどこかで目にしたら教えてほしいと伝えておいた。


日曜日。
特に今日は母は情緒不安定で会って直ぐに泣き出されてしまった。自分が母を迎えに来て其処から出られるものだと思っていたそうだ。子供のように泣きじゃくり僕の手を払い除ける母。今日はおやつにとブドウのゼリーを持ち込んでいたので、それで病室から誘い出す。
いつもの桜の樹の前のテーブルでゼリーを食べて貰う。あれ程に泣きじゃくっていたのにゼリーを口にして落ち着いてきた模様。食べ終わる頃には笑顔も出てきた。食事って大切。気持ちを旨く切り替えられたようだ。昨日お願いをした看護師さんが帰り際声をかけてくれた。お礼と少々不安定な母の事を頼む。