Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

削除対応は吉と出るか?

JASRAC包括契約を締結しエイベックスのビデオを配信したり(これは株主様のご意向か)、着々と陽のあたる場所に向かって突き進むニコニコ動画。その一環としてマリオのMADが一斉削除されたらしい。
http://d.hatena.ne.jp/tragedy/20080514/p1
JASRACと契約したことで、JASRAC側からその覚悟の程が試されていたと思うんだが、その象徴という面もあろう。
YouTubeがまだJASRACと契約できない理由 - ITmedia ニュース

これまでに契約を結んだ5社は、JASRACが求めている、

    1. 過去に投稿されたコンテンツの適正化と、
    2. 将来、違法コンテンツがアップロードされないような対策

について、それぞれ満足のいく対応があったが、YouTubeは過去のコンテンツについて問題が残っているという。

 「YouTubeには、過去に非常に多くのコンテンツが投稿されている。適正化を、首を長くしてお待ちしている」

過去の清算として多くのユーザにとっては「貴重な」コンテンツの削除はこれからも出てくるだろう。聞くところによるとJASRACは昨年ある時期まではニコニコ動画に対し訴訟準備を進めていて、告訴直前まで行っていたそうだ。しかし、実際の投稿者の情報の特定など難しく方針転換した模様だ。ニコニコ動画側としてもそうなった場合のことを考えれば包括契約はいい落としどころだし、ランニングコスト、インフラ強化のために事業の黒字化をすることが早晩求められてという面があっての決断だったと思う。幾つかのインタビューでひろゆき氏が語っているように動画サイトはえらく金がかかるし、広告収入を源泉としていくなら、訴訟を抱えてクライアントを集めるのは難しいからだ。
基本的に動画共有サービスという新しいサービスに対しゲーム業界は寛大というか、露出が増えて上手く知名度が上がるんならOKというスタンスだと思う。無論直接取材なりして公式コメントを求められればゲームの後ろにいる多数の権利者(著作隣接権保持者の皆さま)を頭に思い浮かべて「あるべき姿ではない」ぐらいは云うだろうが、実際は見てみぬふりしてお咎めなしとなるのが殆どだと思う*1。今回の件は任天堂のマリオということだが恐らくゲームとしてのマリオに対してというよりキャラクタービジネスとして露出をコントロールしたい任天堂からの要望だと思う。キャラクタービジネスはディズニーをはじめ権利許諾に五月蝿いようだ*2。あれは削除されたのにこれは残っているのはなぜだと不思議がる向きもあろうが、その線引きをしろというのは酷な話だ。猥褻裁判のように主観によって変わるものであるし、その時点その時点で揺らいでいくものでもある。ニコニコ動画側は理由は開示しない方針だそうだが、実際は正式には説明出来ないというのが本音だろうし、敢えて示したところで突っ込みどころ満載になり不毛な論争が始まるだけだから。
とはいえ、ニコニコ動画はやはり大きく舵を切ったのだ。二次創作であるMADムービーに対しても削除処理をするという大きな方針転換をした。これに憤慨して離れていくユーザが出てくることは承知の上で、尚も新たなクライアント(資金)を得んがため動いた。これが吉と出るかは結果は意外に早く出てきそうな気がする。

*1:例外として手の込んだオープニングムービーやゲームのエンディング

*2:これは都市伝説とも言われるが……