Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

犬神家の一族

御大市川崑自ら再び石坂浩二とコンビで『犬神家の一族』リメイク制作へ、と。

ぼくの中学生のころは角川出版(というより春樹その人か)のメディア戦略に散々翻弄された時期であった。その先頭を切ったのがこの犬神家なのだが、当時は出る釘として玄人筋からはあまり評判は良くなかったように記憶している。当時としてはセンセーショナルなシーンが多く、それが繰り返しCFで流されていたわけだが、この辺りの宣伝手法がお気に召さなかったらしい。

映画の出来自体は一昨年チャンネルNECO金田一耕助特集が年末あったときに見直したが、今見てもとても面白かった。当時は斬新な映像に目を奪われたが、今見るとそのセット、じめじめとした屋敷の雰囲気が画面からかび臭い匂いを伴って感じられるほどの出来だと思う。ある種もうなくなってしまった古い屋敷が怖さとともに懐かしくさえ思われる。ルパンでお馴染みの音楽も印象的ですぐに口ずさむ事が出来るほど。配役も豪華なだけに終わらず楽しい。犯人、松子役の高峰三枝子は初めての悪役で殺害シーンはかなりの興奮状態だったそうだ。古谷一行のテレビ版金田一も印象深いが、石坂版はちょっと抜けてとぼけた感じがいい。その他、様々な人が金田一を演じたがやはり石坂浩二を越えることは出来なかったということなんだろうな。

しかし前作を撮ったのが、市川監督はいま90歳というのだから当時は60歳ということ。このことに逆に驚いた。凄い感覚だ。