Killing Time 2nd

備忘録、日々の徒然想いを残します。

マイノリティ・リポート

昨晩NHK-BSで放映されていた映画。原作は大好きなフィリップ・K・ディックの短編だ。同じディック原作を膨らませて独特の世界観を作り上げた「ブレードランナー」を嫌がおうにも意識したことだろう。ただやはり全般にスピルバーグ監督の健全性というか、小奇麗にまとめようとする意識を感じざるを得ない。ただショッピングモールでのセットなどでの広告媒体は今でもすぐに実現可能な方向性として十分有りなものも多く、それなりの近未来社会の設定を考えたと感じる。これらセットに対して逃走シーンなどはむしろ古典的な“どこかでみた”トリックが使われている。なかでもヒッチコックデ・パルマら映像作家へのオマージュといえるようなシーンが多く映画好きには妙なフックを感じる。
画面が故意に加工されているようで、また全体にディックの世界としては明るすぎるようにも思うが未来というものと自分の意思というものへのスピルバーグなりの解釈がされていたと思う。中盤以降早々と主人公の「マイノリティ・リポート」の存在が否定され、黒幕の存在が唐突に露わになるところに無理を感じることもないが複雑なストーリーをそつなくまとめた。ラストシーン、明るい未来を暗示させるあたりスピルバーグらしく、ディックぽくないのだがそれはそれで面白く見ることが出来た。